不妊症の5
主だった不妊症の検査 ~卵巣予備能~
あまり一般には知られていないけど大事な情報というのがありますが、不妊関連の情報の中では卵子にまつわるいくつかの話があります。 まず「卵子の数は有限である」ということ。男性の場合は精子は絶えず精巣内で作られており、常にフレッシュな精子が供給され続けています。一方卵子の数については出生した時が一番多くて、思春期に初経を迎えた後は排卵を繰り返すたびに1か月で数百から1,000個あまりの卵子を失います。新たに卵子を作って補充することはできません。最終的に50歳前後ですべての卵子を失って閉経を迎えるわけですが、もともとの卵子数が少ないからか減り方が急だからかはわかりませんが、20~30代で卵子の数がすでに少なくなってる方がいらっしゃいます。そうした方が気づくことなく「まあ妊娠はもう少し先でもいいか」とゆっくり構えていると、時間切れとなってしまう悲劇がありえます。
以前はホルモン検査の組み合わせや超音波所見から推測されていましたので、他の合併症を考慮したり数値の組み合わせで判断したりと少しコツを要したのですが、ここ7~8年ほどで普及してきたのが血液中のAMH(Anti-Mullerian hormon: 抗ミューラー管ホルモン)を測定する方法です。採血だけで卵巣の中に残っている卵子の数を推測することができるので負担が少ないことと、その結果は不妊症の治療をどうするか決めるのに重要な情報になります。
残念ながら保険適応でないので自費での検査(当院で約8,500円)になりますが、不妊症の検査をするなら一度確認をしましょう。
つづきます
不妊症の4
主だった不妊症の検査について ~精液検査~
男性因子の有無を確認するために精液検査を受けましょう。前もって採精カップをお渡ししますので、指定された検査日の朝にご自宅で採精していただいて朝9時にクリニックに持ち込んでください。禁欲期間は3~7日程度で調節していただき、採精後は直射日光を避けて保温しておいてください。
精液量、精子濃度、運動率、奇形精子率、精子運動指数などを算出して男性因子による不妊症を診断します。当院ではMedical Electronic Systems社製のSQA-V Goldという機器を使っており、5分ほどで結果がでます。
精子の性状は体調によっても大きく変化しますから、初回の結果が不良でも次回は全く正常ということもよく見られます。期間を開けて数回検査されることをお勧めします。
つづきます
SQA-V Goldと謎のキャラクター
不妊症の3
主だった不妊症検査について ~子宮卵管造影検査~
卵管造影検査はその名の通り「子宮・卵管」に「造影剤」を通してレントゲン撮影して子宮や卵管の性状を確認する検査です。造影剤を注入することにより子宮の形やポリープの有無がわかり、また卵管の狭窄がないか、通過性はあるのか、閉塞しているなら卵管のどの位置で閉塞しているのかを確認することができます。また卵管は通過していても腹腔内に癒着がある場合もあり、卵管の自由な動きが妨げられているようであれば妊娠しにくいということがわかることもあります。
子宮の中にチューブを挿入して造影剤を注入するときに軽度の月経痛様の痛みを訴えられる患者さんもいらっしゃいますので前もって鎮痛剤の投与をして検査を実施します。
卵管の通過性や腹腔内癒着の確認は、不妊治療の方針を決めるのに必須の検査です。通水法や通気法では不十分な面もありますので、造影剤を使用した子宮卵管造影検査をぜひ受けていただきますようお願いします。
保険診療適応の検査になりますので、3割負担であれば約5,000円の自己負担です。
つづきます
クリニック近くの中華料理店「長城」のランチです。十分なボリュームがあって八角の風味も良くて美味しいうえに日替わりランチが780円とリーズナブルなのでよく行きます。