禁煙治療についての追加です
すみません。「禁煙治療の希望がある方はお近くの医療機関までどうぞ」とさっき書いたんですが、正しくは「お近くの禁煙治療を行っている医療機関までどうぞ」でした。
禁煙治療を実施するには、そのクリニックが前もって厚生労働省に届け出て承認されていることが必要で、
[施設基準]
(1) 禁煙治療を行っている旨を保険医療機関内の見やすい場所に掲示していること。
(2) 禁煙治療の経験を有する医師が1名以上勤務していること。なお、当該医師の診療科は問わないものであること。
(3) 禁煙治療に係る専任の看護師又は准看護師を1名以上配置していること。
(4) 禁煙治療を行うための呼気一酸化炭素濃度測定器を備えていること。
(5) 保険医療機関の敷地内が禁煙であること。なお、保険医療機関が建造物の一部分を用いて開設されている場合は、当該保険医療機関の保有又は借用している部分が禁煙であること。
などがクリアされていれば、晴れて認可されて保険診療で禁煙治療が実施できます。多くの内科などは大丈夫なようなので受診前に電話等で確認されてからのほうが安心でしょう。
当院は施設認可の届け出をしていないので対象外です。すみませんがよろしくお願いします。
禁煙治療に助成金
吹田市立保健センターからお知らせが来ました。今年の5月から医療機関で禁煙治療を受けた人に治療費の一部を1万円まで助成してくれる制度が始まったそうです。先着100名まで。
健康への喫煙の悪影響については世間にもうずいぶん広まってきましたが、いざ自力で禁煙を目指してもつらいばかりでうまくいく方は少ないようです。どうしてもタバコが止めれない人は「ニコチン依存症」の可能性があります。(喫煙年数)×(1日の喫煙本数)が200を超える人や、TDS(Tobacco Depedence Screener)TDS(Tobacco Dependence Screener) - Google 検索で5点を超える人はニコチン依存症と診断され、保険診療で禁煙治療が受けれますのでお近くの医療機関で相談されてみてください。いい飲み薬も出てますので定期的な通院と合わせてきっといい結果になると思います。 禁煙するとご自身だけでなく、ご家族や職場の人などにもいいことが多いのでぜひこの機会を利用してみてください。
詳細は吹田市立保健センターまで。
プラセンタ注射
早速お知らせです。 プラセンタエキスの注射を開始しました。元々は肝機能障害等の治療に使われる薬剤だったのですが、近年はアンチエイジングを目的に投与されることが増えているようです。効能は「基礎代謝向上」「抗酸化作用」「疲労回復」「血流改善」などとなっています。
患者さんに提供する前にとりあえず試してみようと、開院してから2か月間、週に3回1アンプルずつスタッフと一緒に注射してみましたが、みんな「体調は良くなった気がする」「お酒が次の日に残らない」「お化粧のノリが良いようだ」などおおむね好評でしたのでご紹介を開始します。
生物由来製剤ですので、投与前の説明や同意書への記入が必要です。興味のある方は診察時にお申し出ください。自費診療です。
お知らせ掲示板
当クリニックのお知らせ掲示板ができました。道路に面した一番右側の壁面です。検診とか予防接種とか休診とかのことでお知らせがありましたらここに掲載しますのでよろしくお願いします。
それらお知らせは引き続きこのblogでも告知しますのでこちらも引き続きお願いします。
こんな感じです
電話問い合わせについてのお願い
当院には入院施設がありません。処置や検査、小手術後にお休みいただけるベッドはありますが、回復後には自宅安静をお願いしています。帰宅後に気分が悪くなったり体調変化が出ることも考えられますから何か心配なことがあったらクリニックに電話いただくようにお知らせしてます。 診療時間中は直接つながりますし、夜間休日も院長携帯電話へ転送されますので連絡がつくようにしていますのでお気軽にどうぞ。
しかし自転車運転中とか入浴中とかどうしても電話が取れないことが度々ありまして、後でかけなおそうとして着信履歴を確認しても「番号非通知」のため発信元がわからないことがありました。どうか当院へ電話される場合は「発信者番号通知可」に設定していただくか、当院電話番号のまえに「186」をつけて発信していただくと(1860663697333とダイヤル)、助かります。 お手数おかけしますがよろしくお願いします。
不妊症の6
不妊原因の本命は年齢的な要因です。以前医師会報に寄稿した文章が残っていました。医療者向けに書いたのでやや難しい表現になっていますが再掲します。
「・・・ただ、日々の診療の中で患者さんと接して思うことの一つは、多くの女性が「女性の年齢が上がると妊娠しにくくなるし流産が起きやすくなる」ということをこれまでの人生で誰にも教わらなかったし耳にする機会もなかったということです。聞きたくない事実から目を背けてきたのではなく本当にまったく知らなかったという患者さんがほとんどです。高齢の初診患者さんに妊娠率が低下してゆくグラフを示してその事実を伝えると「でも芸能人の○○さんが46歳で出産したってテレビで見ましたよ」と。確かにレアケースとしてそうした方もいらっしゃいますし特にそうした報道は大きく取り上げられるでしょうから印象深いんだと思います。しかし動物には妊娠分娩に適した時期があります。
女性の体内にある卵子は胎生期に始原生殖細胞から作られ、第一減数分裂前期で停止して出生を迎えます。思春期となり月経が開始すると卵子は黄体化ホルモンの影響下に減数分裂を再開し、第二減数分裂中期まで達した状態で排卵します。その後精子の侵入を受けて第二減数分裂が終了し第二極体を放出し雌雄の前核を形成します。つまり女性では卵子の減数分裂の期間は「胎児期から受精するまで」=年齢+1年かかっていることになります。一方男性の場合、精巣内での精子の生成をみてみると、思春期に達すると生殖幹細胞である精原細胞から一次、二次精母細胞を経て精子細胞を形成しますが、第一・第二減数分裂はこの70日間に及ぶ分化の過程の中でのみ起こっています。
男性と女性、精子と卵子の違いというのは減数分裂にかかる時間の違いと言い換えることができるかもしれません。せいぜい70数日間で終了する精子の減数分裂に対して、数十年を要する卵子の減数分裂、その違いが染色体不分離など異常発生率の差となり、女性の加齢が原因である不妊症の理由となっていると考えられます。
そんなに難しい言葉を使って説明する必要もなく、シンプルに「子供を持つ人生を選ぶなら妊娠は早いほうがいいです」ということを中学生ごろからきちんと伝えることが大切だと考えます。もちろん自分のキャリアアップを人生のプライオリティーの高い位置に置く女性があってもいいし子供を持たない人生を選択される方もいらっしゃるでしょう。そうした女性の選択はもちろん尊重されるべきですが、もし「卵子が老化する」ということを知らなかったばかりに子供を持ちたかったが妊娠を希望した時にはもう妊娠しにくい状態になっていてあきらめなければならない、そうした人生を選択せざるを得ない状況の方がいらっしゃるとしたらこれほど気の毒なことはありません。
昨年6月のNHKクローズアップ現代「産みたいのに産めない 卵子老化の衝撃」の放送を切欠にして、申し合わせたように卵子の老化についてのテレビ放送・新聞報道が増えてきました。深夜のドキュメンタリー番組だけでなく午前のワイドショーや新聞の暮らし欄を使った特集、女性誌の特集記事という形で一般の方の目に触れる機会が増えてきました。これらの報道に触れてびっくりされた患者さんが当院をはじめ産婦人科に相談に来て検査を受けられることが増えたように感じます。
やはりテレビはじめ報道の影響力の大きさを感じると同時に、なんで今までこんなに大事なことを伝えてこなかったのかと不思議に思うこともあります。
昭和61年に施行された通称「男女雇用機会均等法」、職場での男女平等を確保して女性が差別を受けずに、家庭と仕事が両立できるようにすることを目的に制定されました。この法律が施行されたのを一つのきっかけに女子の大学進学率も上がり高学歴化が進み、就職する時には総合職を目指す女性も増加し、いわゆる「女性の社会進出」を推進するきっかけになったシンボル的な法律であったようです。日本の経済発展が続くには優秀な女性が労働の場に留まってくれることが必要で、そのための環境を整える必要があったのでしょう。報道もその方向性をもって情報を提供し続けてきたと想像できます。
しかし誤解を恐れずに言えば、これらの法律に守られた労働環境が、女性の晩婚・晩産化に拍車をかけた可能性はあったと思います。厚生労働省の人口動態統計によると、1980年に26歳代であった初産年齢は2011年には30.1歳となってとうとう30歳の大台に乗りました。今後もこの上昇傾向は続いてゆくでしょう。もちろん男女の労働環境は平等であるべきですしその評価にも差別があるべきではありません。この法律の理念に間違いはなく今後も多くの勤労女性に働きやすい環境を保証してゆくことでしょう。
しかし人間も動物であり、妊娠・出産には適した年齢というのがある、それは丁度あなた方がキャリアアップを目指して頑張っている時期と一致しています、という情報も同時に知らせるべきと考えます。仕事と妊娠のどちらかを取らないといけない選択を迫ることになるかもしれませんが、少なくとも「歳をとったら妊娠しにくくなるなんて知らなかった、初めて聞いた」という不幸は避けられると考えます。
出産を選択した女性をしっかりと社会全体がサポートする体制を整備してからでないとその告知はフェアーなものではないかもしれませんが、年齢に待ったはありません。正しい情報を早めに伝えて本人に選択の機会が与えられることが優先されるべきと考えます。今後もこれ以上の密度で「卵子の老化」が報道されて広く周知されてゆくことを願ってやみません。」
長い文章ですみませんが、これを読んでいただいた人が一人でもご自身の「妊娠適齢期」について考えていただくきっかけになればと思います。
グラフは体外受精での妊娠率、生産率。年齢が上昇するといずれも低下する。